アレルギー性鼻炎とはアレルギー反応によって起こる鼻炎です。
アレルギー性鼻炎を起こす原因(吸入性抗原=空気中に存在し、呼吸によって体内に入ってくるもの)は、約60パーセントがハウスダスト(室内のゴミやダニ、ペット類の毛など)で、約30パーセントが花粉、残りの約10パーセントがその他(カビ)などです。
具体的なものは次の通りです。
また、ハウスダストが原因でアレルギーが起こる場合、窓を閉め切って暖房をする冬はハウスダストがつねに飛び回っている状態になるため、症状が強く出ることがあります。加えて、冬場の空気の乾燥も症状を悪化させる要因となります。
アレルギー性鼻炎の原因となる吸入性抗原
(花粉)
イネ科
オオアワガエリ、カモガヤ、ホソムギ、ハルガヤ、ススメノテッポウ、オオムギ、トウモロコシなど
雑草
ブタクサ、ヨモギ、クワモドキ、カナムグラなど
樹木
スギ、ヒノキ、カエデ、ブナ、ヤナギ、カシなど
(室内のゴミ(ハウスダスト))
ダニ、犬・猫・取りなどのペットの毛や羽、羊毛、綿花など
(カビ類)
ペニシリウム、クラドスポリウム、カンジダ、アルテルナリアなど
(その他)
そば粉、小麦粉、おがくず、きのこの胞子など
アレルギー性鼻炎はカゼもひいていないのに、発作性のくしゃみ、鼻水、鼻づまりが起こるのが特徴です。
通常、これらの症状は朝夕に強く現れます。それは、アレルギー性鼻炎の症状は副交感神経の働きが優位になると起こりやすいため、朝夕に症状が強く出やすくなるというわけです
「花粉症」は、アレルギー性鼻炎を起こす原因(抗原)のひとつであるスギやヒノキなどの花粉を吸い込んでアレルギーを起こす病気です。つまり、花粉症はアレルギー性鼻炎のひとつです。花粉が舞う季節だけ症状が出るため「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれます。
花粉症の症状は、発作性のくしゃみ、鼻水、鼻づまりの他に、目のかゆみや結膜(けつまく・白目の部分)の充血が起こるのが特徴です。また、吸い込んだ花粉がのどの粘膜につくとのどのイガイガが起こり、皮膚に付くと肌荒れ、口に入った花粉を飲み込むと消化不良や食欲不振などを引き起こすことがあります。
アレルギー性鼻炎も花粉症も体質が関係するため、完治することは難しいのですが、原因を遠ざけることで症状を軽減することができます。
アレルギー性鼻炎の抗原が鼻の粘膜に付着すると、抗原抗体反応の結果、粘膜にある「肥満細胞」などから「ヒスタミン」と「ロイコトリエン」などの化学伝達物質が放出されます。するとヒスタミンは鼻の粘膜にある「知覚神経」を刺激します。この刺激が「くしゃみ中枢」に達し、呼吸器筋に働いてくしゃみ
が連発するのです。
アレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜にある血管にも直接作用して、血管の拡張や循環障害を引き起こします。その結果、鼻の粘膜が腫れてむくみ、鼻づまりが起こります。
検査方法について
◎特異性IgE抗体検査
採血して抗体の種類を調べる。
◎好酸球(こうさんきゅう)検査
鼻水を採りアレルギー性鼻炎の人に多く見られる「好酸球」という細胞の有無を調べる。
◎パッチテスト
さまざまな抗原のエキスを鼻の粘膜に付け、どの抗原で症状が出るかを調べる。
治療
◎抗アレルギー剤
アレルギー反応が起こるときに体内の細胞から化学伝達物質(ヒスタミンなど)が出ることや、出た後に生じる働きを抑えて症状が出るのを防ぐ。飲み薬と点鼻薬(てんびやく)がある。効果が出るまでに2週間ぐらいかかる。
◎ステロイド薬
粘膜の炎症を抑える、抗体が作られるのを抑えるなど、多岐にわたる作用がある。飲み薬と点鼻薬がある。
◎抗ヒスタミン薬
ヒスタミンの働きを抑えることで症状を取り除く。飲み薬がある。
◎抗血管収縮性点鼻薬
鼻の粘膜の血管を収縮させて鼻づまりを解消させる。
アレルギー性鼻炎が疑われる場合、病院で検査して原因を明らかにし、症状に合った治療を受けることが基本です。
似ているような鼻炎
1.
血管運動性鼻炎
発作的なくしゃみや鼻水、鼻づまりなど症状の起こり方はアレルギー性鼻炎と同じだが、急激な温度差が原因で起こる鼻炎。自律(じりつ)神経がうまく働かないために、鼻の粘膜が過敏な反応を起こして症状が出る。
2.
慢性鼻炎
鼻腔(鼻の穴の中)の粘膜に慢性的に炎症がある病気。鼻かぜ(急性鼻炎)の繰り返しや、鼻かぜ(急性鼻炎)が長引いて慢性鼻炎に移行するケースが多い。症状は鼻水、鼻づまりなど。