疼痛外来
どんな疼痛でも早くなくしたいのは患者の第一希望であります。
トリガーポイント注射
「トリガーポイント」とは身体の疼痛のある部位やその関連のあるポイントに局所麻酔薬を注射することで、血の巡りが悪くなって硬くなった筋肉をほぐし血流を良くする効果が期待できます。 一時的に神経を休ませることで痛みの悪循環を絶つことができます。
トリガーポイントによるものでない「本物の神経痛」を除外するする必要があるです。神経障害による疼痛は、一日のうちに症状が変動することがなく、姿勢や動作によって痛みの程度が変わりません。また必ず神経の機能低下が持続的に見られます。神経の機能低下とは、運動神経の機能低下による麻痺、感覚神経の低下による知覚低下などです。
神経ブロック
神経ブロックとは、神経やその近くに注射をして治療する方法です。専門の注射針を使って、局所麻酔薬を注射します。(麻薬ではありません!)様々な種類の神経ブロックがありますが、多くの場合血行を改善する作用があり、単に痛みを取るだけでなく、元の病気の治療作用を併せ持ちます。
よく使われている病気は
・ 椎間板ヘルニア・坐骨神経痛・肋間神経痛・筋筋膜疼痛症候群(肩こり)・肩関節周囲炎(40肩・50肩)・腰痛・腰下肢痛・膝痛
・帯状疱疹後神経痛等
・頭痛
・顔の痛み(三叉神経痛)などがあります。
一般的言えば、病気の治療は神経ブロックだけでなく、理学療法と薬物療法を一緒に行うのが普通です。
関節内注射
関節内注射とは
関節包の中、関節腔へ注射することです。適応は、関節炎や変形性関節症などで、関節包内に痛みの原因がある時に効果があります。
関節の動きを円滑にして磨耗を抑え、痛みを抑える関節内注射の注射薬には、ヒアルロン酸とステロイド剤があります。
【ヒアルロン酸注射】
ヒアルロン酸は、関節軟骨や関節液に含まれる成分の一つで、関節内に注入することにより、関節の疼痛を緩和し炎症を抑制します。又、関節の動きを滑らかにし、関節可動域が大きくします。ヒアルロン酸注射は、初期の痛みや症状の軽いうちに行うと大きな効果が期待できます。又、炎症を抑える働きもあるため、ある程度症状が進行してからも効果的です。
【ステロイド注射】
頑固な疼痛を認める症例や関節水腫を認める症例に対して、大きな抗炎症作用が期待できます。内服薬で改善しない関節炎に対して、ステロイド剤を注入すると、劇的に症状がよくなることがありますが、頻回に行うとかえって関節症状を悪化させる場合がありますので、長期使用は好ましくありません。
【関節水腫にも効く】
関節に炎症が強い時に、多量に産生された関節液が関節の中にたまった状態を「関節水腫」と言います。
変形性膝関節症でしばしば見られる症状です。このような場合、膝の水を抜いて、ヒアルロン酸を注入します。すると、疼痛は改善されます。
点滴及び薬物治療
アセトアミノフェン
腎不全などでNSAIDsが使用できない場合、アセトアミノフェンを使用します。
まれに肝障害を生じます。
NSAIDsだけで効果が弱い場合、NSAIDsに加えてアセトアミノフェンの併用が良いときがあります
ボルタレン坐薬が良く効くが、腎機能障害などのときには、アセトアミノフェン坐薬があります。
注射薬の「アセリオ静注用」が点滴で使用できるようになりました。
NSAIDs
腎機能、消化管出血が許容できるかぎり、オピオイドと併用します。
処方例経口ならロキソニン、セレコックス、
ボルタレンSR
非経口ならロピオン
ボルタレン坐薬
セレコックスは、胃十二指腸潰瘍のリスクが少ないNSAIDsです。
潰瘍予防のため、プロトンポンプ阻害薬の予防投与を推奨します。
トラマール
オピオイド作用、ノルアドレナリン再取り込み阻害作用、セロトニン再取り込み阻害作用によって鎮痛効果を発揮します。
モルヒネよりも便秘が少なめで、吐き気はほぼ同等程度です。
トラマドール37.5rとアセトアミノフェン325rが配合された、トラムセット配合錠も発売されています。
麻薬扱いにならないので使用しやすい薬剤ですが、保険適応は非がんの慢性疼痛となっています。
制吐剤の予防投与:
嘔気嘔吐がすでにある人、過去にあった人、リスクの高い人(消化器がんな ど)、もともと乗り物酔いしやすい人、嘔気があるとコンプライアンスが悪くなる人、制吐剤が増えることは気にしない人
鍼灸の治療
1997年に鍼灸の治療効果の科学的根拠が認められ、WHO(世界保健機関)でも様々な疾患(40種以上)への有効性が認められています。
具体的には、
@痛みを和らげる鎮痛効果、
A血行改善し疲労回復を促す効果、
B筋肉の緊張を緩和する効果、
C自律神経や内臓を整える効果、
D免疫力を高め抵抗力を強める効果、
などがあります。
漢方治療
頚腰痛の漢方治療 越婢加朮湯、麻黄湯、麻杏薏甘湯を使います。高齢者や虚証で麻黄が使えない場合には芍薬甘草湯を用い、附子を併用することもあります。 下半身に力が入りにくかったり、下腹部が軟弱の場合には八味地黄丸、牛車腎気丸も使用します。また、痛みが改善しない場合には五苓散や桂枝茯苓丸を併用します。
膝関節痛:防已黄耆湯、防風通聖散、薏苡仁湯