妊婦への薬物使用について
妊婦に対する与薬の原則
1.妊娠12週までは可能な限り薬の使用を避ける。
2.しかし、疾患の胎児に対する影響が大きいと考えられる場合には積極的に治療する。
3.胎児に対して安全とされる薬の最少有効量を使用して治療する。
妊娠中の婦人に対する薬剤服用の危険性について
オーストラリア医薬品評価委員会先天異常部会による評価基準
妊娠中の婦人に対する薬剤服用の危険性については、前号(No.57:上記)でも触れましたが、この度(1990年)オーストラリアでの妊娠中の薬剤使用ガイドラインが発表されました。
妊娠中の使用に関する医薬品のリスク評価(分類は、次のような独立した5つのカテゴリーからなります。)
*カテゴリーA:妊娠又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、奇形発現頻度の増加はなく、ヒト胎児に対する直接・間接的有害作用は観察されていない。
*カテゴリーB:妊娠又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られているが、奇形発現頻度の増加はなく、ヒト胎児に対する直接・間接的有害作用は観察されていない。
*カテゴリーC:催奇形性ないが、その薬理作用によってヒト胎児または新生児に有害な作用を及ぼす、または及ぼす可能性が疑われる薬。この作用は可逆的な場合もある。
*カテゴリーD:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める薬。これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。
*カテゴリーX:胎児に対して永続的な障害をもたらす危険性が高く、妊娠中や妊娠の可能性のある時期には使用すべきではない薬。
{注}この分類はあくまでも出産年齢層にある女性が常用量を用いた場合の判断で、過量服用、職業的暴露、その他常軌を逸脱した条件には当てはまりません。
<例>
・鎮痛、麻酔薬
レペタン、ペンタジン:C
モルヒネ、フェンタネスト:C
コデイン:A
・NSAIDs
インダシン、ボルタレン、フェルデン、アスピリン:C
・全身麻酔薬
エトレン、フローセン、ケタラール、ラボナール:A
・局所麻酔薬
マーカイン、ペルカミン、キシロカイン、カルボカイン:A
・抗喘息薬
インタール、テオドール:A
・抗てんかん薬
アレビアチン、デパケン、フェノバール、マイソリン、エメサイド、オスポロット:D
テグレトール:B
抗ヒスタミン薬
アタラックス、ポララミン、プリンペラン:A
抗生物質
アミノグリコシド系〜カナマイシン、トブラシン、アミカシン:D
セフェム系〜ケフレックス:A、その他:B
ペニシリン系〜サワシリン:A
テトラサイクリン系〜ミノマイシン等:D
抗菌剤 キノロン系〜シノバクト:B
抗真菌剤 ファンギゾン、アンコトル、グリセオフルビン:B
抗結核剤
エタンブトール、イソニアジド:A
リファンピシン:C
その他
ダラシン、リンコシン、エリスロマシン:A
ゾビラックス、ファシジン:B
バクタ、クロマイ:C
抗パーキンソン剤
シンメトレル、メネシット、アーテン:B
アキネトン:A
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