交通事故による頚椎捻挫
交通事故による頚部捻挫(頚椎捻挫)は頚部に、過伸展や過屈曲が発生した傷害の程度により、様々な複合症状を示します。分かりやすく説明します。
( 1
)頚・腰部周辺の筋肉や靭帯の軟部組織の傷害について
傷病名は、頚部捻挫、頚椎挫傷、外傷性頚部症候群等があります。これが、頚部捻挫全体の大部分を構成しています。受傷後
3 ヶ月以内に後遺障害を残すことなく治癒します。
従って、後遺障害の対象になりません。
( 2
)脊髄から枝分かれをした末梢神経である、神経根の傷害について
傷病名は、頚部捻挫、外傷性頚部症候群、頚椎神経根症、頚椎椎間板ヘルニア等があります。
( 3
)脊髄本体の傷害について
傷病名は、中心性脊髄損傷、脊髄不全損傷、頚椎椎間板ヘルニア、
傷害前の脊柱管狭窄症や後縦靭帯骨化症等によって悪化されるものがあります。
( 4
)椎骨動脈やそれと並行して走行している交感神経の傷害について
脳底椎骨動脈血行不全症、バレ・リュー症候群などによる交感神経症状(不眠や吐き気など)を治すのは、理学療法だけでは不十分です。
( 5
)その他の傷害について?
胸郭出口症候群、低髄液圧症候群等によって悪化されるものがあります。
後遺障害等級について
12 級 13 号
局部に頑固な神経症状を残すもの
他覚的検査により神経系統の障害が証明されるもの
自覚症状に一致する外傷性の画像所見と
神経学的所見の両方が認められるもの
14 級 9 号
局部に神経症状を残すもの、
目立った他覚的所見が認められないが、
神経系統の障害が医学的に推定されるもの、
外傷性の画像所見は得られないが、
自覚症状を説明する神経学的所見が認められるもの、
後遺障害の認定は次の事項から判断されます。
@どのような自覚症状を訴えているか?
頚部から肩にかけて、何となく重い、重苦しい、鈍痛がある?
頚すじが痛い、動かすと痛い、痛くて動かない?
頭痛がある、後頭部痛、側頭部痛?
上肢の痛み、痺れ?
脱力感、力が入らない、握力の低下?
吐き気がある?
目眩、耳鳴り?
視力が下がった、ピントが合わない?
ボーッとする、集中力が下がる?
A自覚症状を説明する画像所見が得られているか?
Xp、CT,MRIなどの精密検査は必要です。
B画像以外のその他の検査で、自覚症状が説明出来るか?
ジャクソンやスパーリングテストで放散痛が認められるか?
知覚障害の有無、範囲、その程度?
筋力低下の有無、範囲、その程度?
筋電図検査や徒手筋力検査で 0 〜 5 、どの段階か?
上下肢の左右の腱反射の異常の有無?
頚部神経学的な検査
( 1
)スパーリングテスト
( 2
)握力検査
( 3 )
徒手筋力検査
( 4 )筋萎縮検査
( 5
)知覚検査
( 6
)腱反射
( 7
)病的反射
( 8
)頚部の可動域検査